初めての方へ
まず、鍼について少しお話いたします。
鍼灸治療は大きく分けると2つないし3つに分かれます。
それは中国古典医学の鍼灸、経絡治療の鍼灸、現代鍼灸の3つです。
中国古典医学の鍼灸、経絡治療の鍼灸は同じといえば同じですが
経絡治療は中国古典医学を基に日本で発達した独自の鍼灸です。
それでこの2つを一緒とすると2つ、別々と考えると3つということです。
(それぞれがさらにいろいろなやり方をしています)
まず中国古典医学の鍼灸、経絡治療の鍼灸のやり方ですが
身体を五行論という中国古典医学の考えに基づいて5つに分けます。
(身体だけでなく全てのもの、万物が5つに分けられるという考えです)
木・火・土・金・水と5つに分けるのですが、どこかで聞いたことがあるという方も
多いのではないでしょうか?
さらに脈や舌の状態などを診て、症状や治療方針を決めていきます。
また皆さんが鍼というと思い浮かべる「ツボ」=経穴を重視するのも
古典派の鍼灸です。
それに対し、現代鍼灸はどう違うかというと経穴や経絡、五行論などは使いません。
基準とするのは現代の解剖学や運動学です。
ツボではなく筋肉や骨を、経絡ではなく神経や血管を重要視します。
また古典派は様々な症状に対応しますが、現代鍼灸は運動器障害に対しては
非常に効果を発揮しますが、その他症状に対しては専門外という立場をとることが多いです。
古典鍼灸と現代鍼灸の違いとは
昔(西洋医学が主流になる前)は鍼灸は、今でいう病院の役割ですね。
ですから、腰や肩が痛いから鍼灸に行くのではなく、食当たりだったり、風邪だったり、頭痛だったり
いわゆる内科系の疾患の人たちもたくさん利用していました。
ですから、脈や舌を診たり、五行論を使ったりしていたのです。
脈を診るのを脈診というのですが、古典鍼灸はこの脈診を非常に精密に判断します。
それこそ脈の種類を数十種類に分けて診るのですが
これは鍼や灸をするために発達したのではなく
もともとは漢方薬を処方するために発達したと言われています。
当時でも内科系の疾患には薬を飲ませるのが第一です。
現代でも胃の調子が悪ければ胃腸薬をまず処方されるのと同じです。
鍼や灸はあくまで2次的な補助の役割だったのです。
しかし、現代は鍼灸師は薬を処方することはできません、これは医師の統括です。
この時点で現代の鍼灸師は翼を半分もがれたと私は感じます。
もちろん、鍼を打つために脈診は必要だ、薬を処方しなくても内科系の疾患に対応できるという
声も聞こえてきそうですが、個人的には内科系の疾患に対応するには薬は必要だと思います。
また今の人が、仮にお腹の調子が悪くて、どこかで診てもらうとしたらまず病院であって
その前に鍼灸院に行くという人はほとんど居ないのではないでしょうか。
まず病院に行って、それでだめなら他の病院に行って、さらにだめなら大きな病院で精密検査というのが
ほとんどだと思います。
そのくらい鍼灸は病院に負けてしまっているというか、世間に認知されていないのが現状ですね。。
私は決して古典鍼灸の完全な否定派ではありません。
(あくまで運動器の疾患についてです)
胃腸の調子が悪く病院に行って薬を飲んでいるが良くならない、精密検査をしても特に悪いところはないと
いう方は、ぜひ鍼灸院に行ってみてください!
途端に良くなったという人はたくさん居らいっしゃいますよ!
ただ、精密検査で重大な病気が見つかったとかウイルスが原因だったとかいう場合は
鍼灸の範囲外です。
この辺がどうしても現代医学に後れを取ってしまいますね。
しかし、本来は未病の段階で治すのであって、こうした重大な病にならないように対処するのが
東洋医学の考えなんです。
話が少しずれました、、、
というわけで、私は腰痛や肩こりなどの運動器の障害に対して、脈や舌の状態は
二の次だと思っています。
腰が痛いのは腰の筋肉や関節が原因であって五行のバランスがくずれているから
なんかではないと思います。
下記に詳しく述べてみます。
今こそ現代鍼灸が腰痛などの運動器障害に良いと思う理由
理由は2つあります。
1つは先ほども少し触れましたが、解剖学、運動学の発達です。
例えば古典鍼灸では腰が痛いのに、腰に鍼を打たずに脚に打つ場合があります。
もちろんそれで効く場合もありますが、個人的な感想では効果は今イチですし腰が痛いのだから腰に鍼を打ってくれよ!です。
そう、その通りなんです。
腰が痛いのは腰の筋肉や関節の異常であって、脚ではありません。
脚には腰の影響が出ているだけです。
それを鍼灸を神秘的に見せる為なんでしょうか?
腰が痛いのに腰に鍼を打たない鍼灸院も多いのです。
現代鍼はそうではなく、腰が痛いなら腰に、首が痛いなら首に刺します。
では一見関係ない場所に打たないのか?というと打ちます。
ただしそれは脚にも影響が出ているからであって経絡上の考えではありません。
現代の解剖学・運動学に基づいたものです。
例えば腰の場合、普通はいわゆる腰というと背筋(脊柱起立筋)をイメージすると思います。
しかし、脊柱起立筋と言っても1つではなく3種類に分けることができますしさらにその3種類はまた分かれてそれぞれ名前がついています。
また腰の筋肉は脊柱起立筋だけでなく、腰方形筋、大腰筋、腸骨筋、梨状筋などのインナーマッスルも複数存在しています。
そして腰痛もそれぞれ痛めている筋肉が個人によって違うのです。
またこの筋肉が弱っているとこの脚の筋肉に影響が出やすいなど、運動学でも分かっているので、その場合に脚などにも鍼を打つのです。
これは大昔の中国古典医学ではわからなかったことです。
腎系の気が弱っているから腰痛に、膀胱系の気が弱ってるから頭痛になんかならないとそれが現代鍼灸の考えです。
私も自身の腰痛からそう思っています。
もう1つの理由は科学技術の発達です。
科学技術の発達とは、それは製鉄技術のことです。
鍼そのものの進歩です!
どういうことかというと、昔は長い鍼を作ろうと思うと、どうしても太くならざるをえません。
細いと折れてしまうからです。
太くなると当然痛いし、血管や神経を傷つける可能性が大きくなりますね。
しかし、今は細くても丈夫でしなやかな鍼を作ることができます。
折鍼といって鍼が折れてしまうということもまずありません。
これにより体内に深く入れて鍼が折れて残ってしまうという危険が大幅に減りました。
また衛生事情も格段に上がっていますから、化膿するようなこともありません。
もしかしたら、昔でも身体の奥まで鍼を入れれば良くなることはわかっていたかもしれませんがそうすると身体を大きく傷つけるリスクがあったからこそ、脚などに刺したのかもしれませんね。
現代は科学技術の進歩でそうした心配がほぼないのです。
以上の2つの理由で、現代こそ鍼が最大限に効果を発揮できると思うのです。
運動器障害に特化した鍼である
昔は鍼灸は病院の代わりであったと、そして、腰痛や肩こりだけでなく
内科系の疾患にも対応していたと書きました。
しかし、現代鍼は運動器障害に強いが、内科系の疾患には専門外であるとも書きました。
こう書くと、それでは伝統鍼灸の素晴らしさが無くなってしまったのではないか!?とも思われそうですね。
しかし、今の病院を思い起こしてください。
それぞれ外科、内科、精神科、皮膚科など専門分野に分かれていませんか!
鍼灸もそれで良いのではないでしょうか。
例えば不妊に対応した鍼灸もあれば、自律神経失調症などの現代医学ではなかなか治せない症状に強い鍼灸などです。
私が皆様にご提供したいのは運動器障害に強い鍼です。
運動器障害とは
腰痛、首痛、肩こり、肘痛、膝痛、などなど関節部分の痛みや不調を運動器障害と言います。
また腰痛と言ってもぎっくり腰、ヘルニア、坐骨神経痛など複数あります。
首・肩こり、これもむち打ち、40肩・50肩、野球肩、デスクワーク・PC作業などからくる凝りなど同じ箇所でも複数の原因があります。
このように運動器障害といっても種類はたくさんありこれに特化した鍼と言ってもやることはたくさんあるのです。
WHO(世界保健機構)鍼灸適応疾患
WHO(世界保健機構)では、以下に提示した疾患に鍼灸治療が 適応であることを発表しております。
- 神経系
神経痛(三叉、肋間、坐骨など)、頭痛、歯痛、ヘルペス、顔面神経麻痺、しびれ
- 運動器系
五十肩、むち打ち症、頸肩腕症候群、腰痛症、ギックリ腰、椎間板ヘルニア、変形性膝関節症、関節炎、リウマチ、肩こり、寝ちがい、筋肉痛、捻挫、テニス肘、腱鞘炎
- 消化器系
胃炎、胃下垂症、胃酸過多症、胃痙攣、胃・十二指腸潰瘍、口内炎、慢性肝炎、胆石症、慢性腸炎、便秘、下痢、痔疾
- 循環器系
高血圧症、低血圧症、心臓神経症、動悸、浮腫、冷え性
- 内分泌系
糖尿病、甲状腺機能障害、
- 呼吸器系
風邪、扁桃炎、咽頭炎、気管支炎、喘息、咳
- 泌尿器系
慢性腎炎、膀胱炎、ネフローゼ、前立腺肥大
- 感覚器系
眼精疲労、仮性近視、白内障、鼻炎、副鼻腔炎、耳鳴り、メニエール症候群、めまいなど
- 婦人科系
生理痛、月経異常、乳腺症、更年期障害、冷え、のぼせ、つわり
- 小児科系
小児喘息、夜尿症、夜泣き、かんの虫、消化不良、虚弱
- その他
自律神経失調、不眠症、ストレス性疾患、心身症、アレルギー、アトピー性皮膚炎、慢性疲労、成人病の予防
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